「またスケジュールが遅れてる…」「このままじゃ炎上しそう…」
こんにちは。
WEBディレクター歴20年以上。 悩めるディレクターさんやWEB担当者さんが、明日から実践できてランクアップできるヒントを届けている友澤(ともざわ)です。
プロジェクトの進行中に、予期せぬトラブルや遅延に直面し頭を抱えた経験はありませんか?
特にWeb制作の現場では、クライアントからの急な要望、技術的な課題、メンバー間の連携ミスなど、様々な要因でスケジュールが狂いがちです。
一度スケジュールが崩れるとリカバリーが難しくなり、結果として「プロジェクトの炎上」という最悪の事態を招くことも少なくありません。
でも、安心してください。
今回は、私が長年の経験で培ってきた「遅延トラブルゼロ」を目指すスケジュール管理の秘訣を、「たった3つのポイントに絞って」お伝えします。
この記事で得られる内容
3つのポイントを押さえるだけで、あなたのプロジェクトは劇的に安定します。メンバーもクライアントも安心して任せられるWebディレクターへとステップアップできるでしょう。
- タスク漏れをなくし、正確なWBSを作成する極意
- プロジェクト管理者が押さえるべきタスク理解の深め方
- 遅延の兆候をいち早く察知し、未然に防ぐコミュニケーション術
良かったら読んでみてください。
目次
なぜプロジェクトは遅延し、炎上するのか?
プロジェクトの遅延や炎上は、決して特別なことではありません。多くのプロジェクトで共通するいくつかの原因があります。
炎上プロジェクトとは何か
炎上プロジェクトとは、スケジュール遅延や仕様変更などが重なり、関係者の信頼や士気が低下して立て直しが困難になった状態を指します。

主な原因は以下の3つです。
- タスク見積もりの漏れ
プロジェクト開始時に想定していなかった作業が後から発覚し、追加で工数や期間が必要になるケース。 - 工程の遅れ
特定のタスクやフェーズで予想以上に時間がかかり、後続の工程に影響が出てしまうパターン。 - 想定外の修正や変更依頼
クライアントからの急な仕様変更や、開発途中で見つかるバグなど、計画にはなかった修正作業が発生することもあります。
これらの要因によって、当初予定していた工数や工期が圧迫されます。遅延を解消しようと、人員を追加投入したり、メンバーが無理な残業を強いられたりすることで、疲弊や不満が蓄積し、結果としてプロジェクトが「炎上」してしまうのです。
しかし、これらの原因の多くは、適切なスケジュール管理と事前の対策で防ぐことができます。
1、WBS作成とタスク洗い出しの精度を高める
プロジェクトの成功は、その設計図であるWBS(Work Breakdown Structure)の精度に大きく左右されます。タスクの洗い出しが甘かったり、見積もりが不正確だったりすると、後工程で必ずしわ寄せが来て遅延や炎上の原因となります。
なぜWBSの精度が重要なのか?
- タスク漏れは致命的:
未計上のタスクは、後で必ず追加作業として発生しスケジュールを圧迫します。WBSで細かく洗い出すことで抜け漏れを防ぎます。 - 遅れに気づくための可視化:
洗い出されていないタスクは当然ながら進捗管理の対象になりません。存在しないタスクの遅れには気づきようがないのです。 - 正確な期間見積もり:
各タスクを細分化することで必要な工数や期間をより具体的に見積もることが可能になり、無理のないスケジュールが組めます。
WBS作成・タスク洗い出しの極意
別の機会にまた詳細をお伝えするつもりですが以下の4つを注意してみてください。
1、「これ以上分解できない」レベルまで細分化する
理解度の項目にも関わりますが遅延の悩みがおありなら、一度ギリギリまでやってみましょう。案件理解、遅延の検知、遅延時のリカバリ、全てに使える万能の手法です。慣れたら端折っていいですし、共有ドキュメントでは邪魔なので割愛をお忘れなく。
2、関係者全員でアイディアを出し合う
開発メンバーが変わるとやり方も手順も変わります。クライアントも含みますが、今プロジェクトの関係者に聞いてアイディアを集めましょう。
3、タスクの依存関係を明確にする
タスク依存関係とは、Aのタスクが終わらないとBが始められないタスクです。デザイン決定前にマークアップを始めてしまうと後戻りの影響が甚大なため、依存関係は重要です。最初はザックリで十分です。
4、悲観的に見積もる
これ結構大事です。デザインの役員レビューなどで、クライアントの社内チェックがプロジェクト計画時に決めた期間よりも長くなるといったケースで遅延が起こりやすいです。

WBSは一度作って終わりではありません。プロジェクト進行中に新たなタスクが発生したり、既存タスクの内容が変更された場合は常に最新の状態に更新し続けることが重要です。
2、管理者自身のタスク理解度を高める
WBSでタスクを洗い出すだけでは不十分です。プロジェクト管理者は、洗い出されたタスク一つひとつの内容、そしてそのタスクがどのような工程で、どのような手順で進められるのかを深く理解している必要があります。
なぜ管理者自身のタスク理解が重要なのか?
- 適切な工数見積もり
タスクの内容を深く理解しているからこそ、メンバーからの工数見積もりが適切かどうか判断できます。 - 進捗状況の正確な把握
「この作業は通常どのくらい時間がかかるか」「今どの段階で、何がボトルネックになっているか」を理解していることで、メンバーの進捗報告が正しいか、あるいは遅延の兆候がないかを見極めることができます。 - 課題解決能力の向上
問題が発生した際に、そのタスクの特性を理解していればタスクをさらに細分化できるため、具体的な解決策や代替案を迅速に検討し適切な指示を出すことができます。
管理者のタスク理解度向上のポイント
分かっているつもりにならないことが大切です。
1、専門知識の基礎を学ぶ
各工程が一般的にどうするものなのか?の基礎を学んでおきましょう。基礎がわからないままではヒアリングもままなりませんよ。
2、メンバーへのヒアリングを徹底する
このプロジェクトでどのようなチャレンジをして工程がどのようになるのか?などメンバーへのヒアリングで得るものは多いです。プロジェクト経験の浅いディレクターなら絶対にやってください。
3、「もし自分がやるなら?」とシミュレーションする
「このプロジェクトで自分が担当するならどうするかな?」と考えるとタスクの依存関係の理解が深まります。最初は違っていてもいいんです。正すためにヒアリングしましょう。
4、過去の類似プロジェクトの情報を参照する
「どうしてもわからない」または、「時間が無さすぎる」場合には過去の類似プロジェクトの情報を見てみましょう。時間があれば先に参照から始めて、基礎を学び、シミュレーションし、最後にヒアリングの順序がいいかもしれませんね。

タスクの理解を深めることは、メンバーへの信頼感を高め、チーム全体の生産性を向上させる上でも不可欠です。
3、遅れる前に察知する「予測型」コミュニケーションを
WBSでタスクを正確に洗い出し、管理者自身がタスクを深く理解できていれば、次は「遅れる前に察知する」ためのコミュニケーションが肝となります。マイルストーンの中間状況をこまめに確認することで、遅延の兆候を早期に捉え、迅速なリカバリーアクションにつなげることができます。
なぜ「遅れる前に察知する」必要があるのか?
- 手遅れを防ぐ
問題が顕在化してからでは対応が手遅れになるため、発生前もしくは小さな遅れのうちに気づき修正することで大規模な遅延を防げます。 - 早期解決によるダメージ最小化
問題が小さいうちに対処できれば、工数やコストの増加、関係者への影響を最小限に抑えられます。 - 信頼関係の維持
クライアントやメンバーは、トラブル発生時に迅速に対応できるディレクターに安心感を覚えます。
遅延を察知するためのコミュニケーション術
遅れや不安が共有できるチームの雰囲気づくりに気を配りましょう。
1、定期的な進捗確認の仕組み化
プロジェクトの今を知るために、MTGや進捗管理表の更新日を決めて定期的に進捗を拾えるように仕組み化しておくことはある程度のプロジェクトなら必須です。
2、「進捗率」だけでなく「困りごと」をヒアリング
1が定量的なものならばこちらは定性的と言ってもいいでしょう。進行中のタスクの担当者が何を考えて困っていることがないかなどをこまめにヒアリングしましょう。進捗管理表の更新だけではわからないポイントをピックアップしておきます。
3、マイルストーンの中間地点を細かく設定・確認
社内向けのタスク管理表(兼スケジュール表)ではクライアント向けのマイルストーンよりも細かく設定して、遅れや困りごとをマイルストーンに達するより前にチェックできるように設定し、確認しましょう。
4、報告しやすい雰囲気を作る
「遅れるとは何事か!」「マイルストーン必達でお願いします!」ではなく、「遅れや課題は必ず出るので少しでも気になることがあったら何でもなるべく早く言ってくださいね。遅れは恥や評価のポイントではないです。リカバリのためにチームがあるので言ってくれないことだけが罪と思ってお願いします。」ぐらい言ってあげたいですね。

遅れには必ず兆候があります。その兆候を見逃さないように特にチームメンバーに目を配りましょう。
少しマインドの話
駆け出しのころに関わったPMが言ってました。
「スケジュール遅らせないなんて簡単だよ。公開を予定より1カ月先にすればいい。」
なるほど!と思いましたね。
どんなに緻密に正確に見積もったとしても様々な工程の積み重ねの結果、遅れは絶対に発生する。という前提に立てば、最初から1カ月先にしてしまえば少々遅れても遅れたことにはならないというたくさんの案件をやってきた人ならではの発想です。
わかっていつつも、案件を任されているディレクターとしては、そこまで切り捨てられないというのも事実です。外部環境が「無意味に1カ月先延ばし」なんて許してくれないのが現実でしょう。だから私たちは「遅延が発生する可能性を理解して計画し、アンテナを張って兆候に気づく努力が必要」なのです。
ここで大事なのは「気づいた時点で即動ける余裕があるか?」ということです。
気づけても即時対処できなければ気づかなかったのと同じです。だいたい気づいた時点では遅れが出ているので即時対応が必須です。そのために自分自身のスケジュールに余裕を持たせるスケジューリングマインドはディレクターの必須マインドです。
自分が少し楽をしているように感じるぐらいのスケジューリングを心がけましょう。
まとめ
今日から一歩踏み出そう。
いかがでしたか?私がこれまでに多くのプロジェクトを経験し、炎上・遅延を未然に防ぐために最も重要だと考えている3つのスケジュール管理術です。
まず今日から以下を意識してみてください。
- WBS作成、タスク洗い出しの精度アップ:
「これ以上分解できない」レベルまでタスクを細分化し、抜け漏れのない設計図を作りましょう。 - 管理者のタスク理解度アップ
各タスクの内容や工程を深く理解することで、正確な判断と的確な指示ができるようになります。 - 遅れる前に察知するコミュニケーション
こまめな進捗確認と「困りごと」のヒアリングで、遅延の兆候を早期に捉え、先手を打ちましょう。
これらを継続的に実践し成功体験を積み重ねることで、周囲からの信頼を着実に築けるはずです。
まずは今夜か明日手帳やタスク管理ツールに「今日から始めること」をひとつ書き出してみましょう。

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