「社長に『サイト今どう?』と聞かれたとき、つい『まあ順調です』だけで終わってしまいませんか?」
こんにちは。
WEBディレクター歴20年以上。悩めるディレクターさんやWEB担当者さんが、明日から実践できてランクアップできるヒントを届けている友澤(ともざわ)です。
先日、クライアントの社長から自社のWeb担当からの報告に関して、こんな声を聞きました。
- 数字の説明ばかりで結局よくわからない報告しか出てこない。
- だから、Webサイトがお客様にどう使われているのかがわからないんですよ。
- 結局、次に何をすればいいかが提示されなくて判断に困る。
こうした曖昧な報告では安心も判断もできませんよね。
でも、社長に「このディレクターなら安心だ」と思ってもらえる報告には、3つの原則があるんです。
今回はその3つの原則を押さえて、「社長に『サイト今どう?』と聞かれたら安心して報告できるディレクター」になる方法をお伝えします。
この記事で得られる内容
この記事を読み終えたら社長への報告がいきなりレベルアップします。
- まずは数値で語る「数値ベースの報告」の原則
- 次に「定量×定性」でユーザー動向を的確に伝える原則
- 最後に具体的なアクションを報告し安心させる原則
良かったら読んでみてください。
目次
1. 押さえておきたい「数値ベース」の報告の原則
経営を司る経営者はお金という数値にシビアでなければなりません。そのため、感覚ももちろん大事ですがそれ以上に数値というファクトを重視する傾向があります。ただ数値を並べるだけではなく「数値ベースの報告の型」を身につけて信頼性のある報告を目指しましょう。
1-1. KPI・KGIの役割を押さえる
まず大事なのは前提となるWebサイトの目的・目標(KGI)と判断基準となる(KPI)を押さえておきましょう。報告の冒頭に必ず入れてWebサイトに求めているゴールにズレがないこと、また「この点について報告しますよ。」を植え付けることが大切です。
- KGI(最終目標):売上、リード数、申込数など
- KPI(過程指標):PV数、滞在時間、直帰率、CVRなど

社長は常に「投資対効果」を意識しています。
数字で示すことで、「効果が出ているのか/出ていないのか」が一目瞭然になります。
1-2. 報告の型:目標 vs 現状 vs 達成率
KGI、KPIを冒頭で押さえておけば以下のような「目標 vs 現状 vs 達成率」のセットで報告すれば文系社長でもスッと腹に落ちてきます。
指標 | 目標値 | 現在値 | 達成率 |
今月PV数 | 200,000PV | 150,000PV | 75% |
直帰率 | 42% | 50% | 84% |
コンバージョン数 | 1,000件 | 1,200件 | 120% |
• 前年同月比や目標に対する達成率も併記すると、社長の安心感が高まります。
1-3. 一言報告の具体例
冒頭の「どう?」と聞かれたときに一言でさっと答えられるといいですよね。以下はその例です。
- 先日の会議で決まった「アクセス数増と直帰率の改善」に向けた施策を実行しています。
- その結果、今月のPVは15万PVで、目標の20万PVに対して75%。前年同月比では+10%です。
- 直帰率は50%目標に対し42%で改善中。全体の滞在時間も平均+30秒伸びています。

このぐらいサクッと答えられるように数値を見ていれば自分自身やチームの目標管理なども明確になっていきます。また「目標に対して『今』どのようなアクションを起こしているのか?」を付けると、たくさんの数値の中から報告のためにピックアップした指標の意図も理解していただけます。
2.「定量×定性」でユーザー動向を的確に伝える原則
サイトの状況をサッと伝えられるようになったらもう一段深掘りして原因や新たな課題の発見、優先度の高い施策なども考慮してみましょう。
2-1. 定量データで動きを捉える
定量データは、売上金額や人数のように数値で表現され、統計的に分析できるデータです。
- ユーザー属性の変化:新規/リピーター比率、デバイス別セッション数
- 行動指標:クリック率、離脱ポイント、ファネル毎のコンバージョン率
例えば、モバイルからのアクセスが60%→70%に増えたなら、スマホ最適化の必要性を訴求する根拠となります。
2-2. 定性データで“声”を補完する
定性データは、顧客の感想やインタビュー内容のように言葉や観察で記述され、深い洞察を得るためのデータです。
- アンケート結果やユーザーテストのコメント
- お問い合わせ内容、SNSの口コミ
「お問い合わせで『ここが見つけづらい』という声が多かったので、ナビゲーションを改善検討中です」といった背景を伝えることで、社長にもユーザー視点が理解しやすくなります。

2-3. 意見を交えた報告のコツ
「定量×定性」で深掘りをしたらKPI・KGIとを織り交ぜて専門家としての意見を伝えましょう。行った施策に対する見解や、現状数値の原因、これらから考えられる課題などです。
- 「こうした行動変化は、先月実施した〇〇施策の影響だと考えます」
- 「ユーザーが離脱しているこの部分は、○○改善でCVRが+2%見込めます」

数値と合わせて意見や施策の状況なども伝えると現状課題も理解してもらえ易くなります。今後どのようにするべきかについて社長からの意見ももらえるかもしれません。うまくいけば予算が出ることもあるかもしれませんよ。
3. 中長期・短期的なアクションプラン提案の原則
現状と、現状の見解・課題が認識できたら次はWebディレクター・Web担当者として今何をするべきかについて次のアクションを提案しましょう。
3-1. 課題の整理
具体的な課題が見えたら一覧化しましょう。一覧化した課題から優先順位を付けていきましょう。
- 数値・声から浮かび上がった最重要課題を3つ程度に絞る
- モバイル導線の分かりづらさ
- LPの離脱率増加
- 問い合わせフォームの離脱
最重要課題としてその3つを選んだ理由をわかりやすく伝えてください。社長の立場になったつもりで「社長が知りたいと思う情報」を伝えましょう。

3-2. 中長期・短期アクションプラン
さて、社長への報告は最終的にはアクションプランとしてまとめていきます。まずは課題解決のためのロードマップを作成しましょう。それぞれの課題によって期間や方針も違うと思いますので1つの表に期間とその期間内の実施方針を記載します。
課題 | 1~3月 | 4~6月 | 7~9月 | 10~12月 |
---|---|---|---|---|
モバイル導線の分かりづらさ | ・導線課題の発見 ・対応策の立案 | ・施策実施&検証 | 【結果報告】 | – |
LPの離脱率増加 | ・A/Bテストプラン検討 | ・デザイン&文言変更 ・A/Bテスト実施 | 検証期間 | 【結果報告】 |
問い合わせフォームの離脱 | ・課題検証 ・ユーザーテスト | ・テスト結果検証 ・改善施策の検討 ・見積算出 | ・改善施策の実施&検証 | 検証期間 |
次は短期的なアクションプランに落とします。以下の様に誰がいつまでに何をするのか?を明記しましょう。
アクション | 期待する効果 | 期限 | 担当 |
---|---|---|---|
モバイル導線のヒートマップ分析実施 | 改善点の把握 | 今週中 | アナリスト |
LPデザイン&文言A/Bテスト | 離脱改善 | 来月初旬 | デザイナー、マーケ担当 |
問い合わせフォームのUI見直し&ユーザーテスト | CV向上 | 四半期内 | デザイナー、開発 |
アクションプランは
- 中長期的なロードマップが、どんな方針で課題を解決しようとしているのか?
- 短期的なアクションプランが、これからいつ何をするのか?
を明確に報告するためのツールです。
3-3. すでに始めている取り組みも合わせて
中長期的なロードマップと短期的なアクションプランが揃ったら、プラン通りに施策を進行していきます。
施策が動き出したら、
- 今、短期的に何をやっているのか?目的は何か?
- 一つ前に何をやってどんな結果だったのか?
も合わせて報告できたら社長へのWebサイトの報告の型として通用します。ぜひ今からでも報告資料を見直してみましょう。
少しマインドの話
大事なのは「社長とは何を知りたい生き物なのか?」という事です。
前述しましたが社長とは経営を司る人です。もちろん例外もありますが基本的にはそのはずです。
その経営を司っている人が何を考えているのかというと「社員が生きがいを持って仕事ができ、その結果、会社が利益を生んで継続的に運営し続けること」です。そのためにWebサイトを運営するという経営判断をしたわけです。
そしてあなたはその運営に携わっている人。
なので、経営判断としてのWebサイトの
・目的・目標があなたと一致しているか?
・目標に向かってWebサイトが今どんな状況なのか?
・状況が悪いならどのぐらい悪いのか?緊急度は?
を知って、他の経営施策と比較してどのぐらいの投資をするべきかを知りたいのです。
だから型に沿って報告をしてあげる必要があるのです。
何を言いたいのかというと伝える相手のことを考えて報告しましょう。ということ。
部長であれば、課長であれば、ユニットリーダーであれば、チームメンバーであれば、社外の協力会社であれば、とそれぞれの立場で知りたいことが変わるので立場に合わせて変えます。
ただ、報告の型自体はどのパターンでも使えますのでぜひ利用してみてください。

まとめ
社長に「サイト今どう?」と聞かれたときは、
- KPI・KGIを元に数値で示す
- ユーザー動向を定量×定性で伝える
- 次のアクションを具体的に提示する
この報告をいつでもサッとできるように習慣化することで、社長から「安心して任せられる!」と信頼される報告ができるようになります。
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